社長インタビュー


インタビュアー:社長は前職がシステムエンジニアだと
伺ってますが今の仕事に就かれた経緯を教えて下さい。

社長:私は長男なので親の会社を継ぐ事はある程度
意識していましたがかなり若い時点で継がなくても
いいという事で親とは話がついていました。
ところが30代後半になったある日、
突然両親が家に遊びに来て、帰り際に父親から
「ウチの仕事をやってみないか」というような事を
急に言われました。自分的には既に継がないという事で
話がついていると思っていたし、仕事でも中核を担うように
なっていたのでまさに青天の霹靂という感じでした。
しかし両親が帰った後で色々考えましたが
「やはり、自分がやるしかないか…。」という風に
考えるようになりました。それは
あの頑固親父がそんな事を言ってくるなんて
よほど困ってるんだなと思ったからです。
後から聞いた話ですがウチに来る前年に父親が足を
骨折して仕事に支障をきたし取引先の方から
「おたくはこのあと後継者どうするの?」と
ずいぶん聞かれたようです。大きな怪我をしてようやく
後継者の事を考えはじめたようです。私も長男なのに
家業を継がない事に後ろめたさも少々感じていました。
システムエンジニアの仕事は好きだったので
後ろ髪を引かれる思いもありましたが、
長年勤めた会社を辞めて家業を継ぐ事を決意致しました。

インタビュアー:実際製造業で働いてみて
どういう印象をもちましたか?

社長:最初の印象は最悪でした。(笑)
中学生ぐらいの時に手伝いにきた事はありましたが
ほとんど忘れていたので射出成形を何も知らない
自分からすると、まるでチャップリンの
モダンタイムスのようだと思いました。

インタビュアー:どういう意味でしょうか?

社長:人が機械に使われているように見えました。
モダンタイムスの中では産業化・機械化の中で、
逆に人間が機械に使われている状態になっている事を
ユーモラスに描いている一面がありますが、まさにそれだと思い、
非常に二十世紀的な仕事だと感じました。(笑)
もちろん、仕事を理解している今は全然違いますが。

インタビュアー:辞める事は考えなかったのでしょうか?
 
社長:結婚して既に子供もいて家も購入していたので
辞めるという選択肢は考えていませんでした。
とはいえ少々騙された?ような気になっていたので
しばらくは仕事に身が入りませんでしたし、
この仕事をこれから一生やっていく事を
受け入れきれませんでした。

インタビュアー:変わったきっかけのようなものは
あったのでしょうか?

社長:数年経ったある日、自分一人で試作をする
機会が巡ってきました。
その時点で仕事は一通りなんでもできると
思っていたので自分一人でも問題ないと高を括っていました。
ところが実際には全然上手くできず、結果は散々でした。
その時初めて父親って凄い技術者なんだなと思いました。
父親が普段いとも簡単にこなしている様子を間近に見ていて
自分も簡単にできると勝手に大きな勘違いをしている事に
初めて気がつきました。

インタビュアー:その時はどんな気持ちでしたか?

社長:愚かな自分に気付き、冷や汗しか出てきませんでした。
実際に自分ができるのと、ただ見てわかったような
気になっている事のあまりに大きな違いを
思い知らされた出来事でした。

インタビュアー:その後仕事に対する向き合い方に
変化はあったのでしょうか?

社長:それからは真摯に仕事に向き合うようになりました。
父親がやっている事をつぶさに観察し自分なりに考え、
なぜこれをやるのかという事を色々な本を読んで調べたり、
自分で試してみたりして確かめました。
成長するには自分自身で考え、自分なりの答えを
導き出す事が非常に大事でした。
父親に聞いてしまうと即座に答えに辿り着いてしまいます。
それだと自分の学びに繋がらないので、
一切聞く事はせずに自分のなかで失敗を
繰り返して学んでいきました。
とはいえせっかくのお手本が目の前にいるので
自分なりの答えを出した上で聞いたりもしました。
その事は今も未知の問題に直面した時に
どのようにして解決していけばいいかという方法論に
つながっていると思います。

インタビュアー:社長にとって先代の社長は
どのような存在でしょうか?

社長:そうですね、師匠でもありメンターでも
あるという感じでしょうか。
あんまり質問はしませんでしたが。(笑)

インタビュアー:仕事をする上でどういう時に
喜びを感じるでしょうか?

社長:やはり難しい成形をしている時に思い通りに
できた時は自分が天才かと思いますね。(笑)
もちろん冗談ですが。ですがだいぶ年季の入った金型を
持ち込まれて、それを分解・清掃するような地味な作業が
意外と楽しかったりもしますね。

インタビュアー:これから会社をどのようにして
いきたいとお考えでしょうか?

社長:今は本当に先が読めない時代です。
コロナのような疫病が流行したり大きな災害が起こったり、
戦争が起きないとも限りません。
そういった不確実性が高い時代にあっても
しっかりを地に足をつけつつ、時代の変化にも柔軟に
対応していく事で小さい会社でも世の中から求められる
必要不可欠な存在になっていきたいと考えております。